しじみは日本人に馴染みのある食材ですが、どんなところに生息し、どんなふうにして漁獲されているのか、多くの人はあまりよく知らないのではないでしょうか。
「そもそもしじみはどこで獲れるんだ!?」という疑問のために、まずは基本的な解説を。
しじみは、河口の淡水域や、淡水と海水が混ざり合う「汽水」と呼ばれる過酷な環境に生息しています。全国には汽水域を形成する湖があり、そこがしじみの漁場となっているところもあります。道内で屈指のしじみ水揚げ量を誇る網走湖も、日本を代表するしじみの漁場として知られているんです。
それでは一体、しじみはどんな方法で獲られているのでしょうか。現役しじみ漁師が解説しちゃいます。
湖底に潜むしじみを掘り起こす「鋤簾(じょれん)」
僕たちしじみ漁師が行っているのは、「じょれんびき漁業」と呼ばれる方法です。「鋤簾(じょれん)」という金属製の爪がついたカゴで湖底を掘り起こして、しじみを獲っていきます。
鋤簾(じょれん)は、しじみ、ハマグリ、アサリ、エビ、シャコといった生き物を獲る漁具です。水深の浅いところでは、胴長靴やウェットスーツを着て鋤簾(じょれん)を引くこともあります。
潮干狩りで使える小さいタイプもありますよ!
昭和30年頃になると、僕たちしじみ漁師は、船の動力を利用して鋤簾(じょれん)を引くようになります。この漁具で大量にしじみを獲ることができるのですが、漁獲量はしっかりと決められています。しじみは大切な水産資源なのです。
網走湖のヤマトしじみは、水深1~2メートルの浅場で獲れます。獲りすぎないように、14ミリの格子幅のじょれんを使い、格子をすり抜けたしじみは湖に戻って十分な大きさに育つまで待ちます。獲れるしじみサイズは23.3ミリ以上。大粒で美味しい網走湖のしじみです。
しじみを厳格に区別する「選別機」。そして熟練の選別方法も
しじみを水揚げしたら、そのまま船上で選別機にかけて大きさをさらに分けていきます。選別機にふるい落とされたしじみもまた、湖に戻して成長を待ちます。
選別を行うのは大きさだけではありません。お客様に新鮮なしじみをお届けするために、漁師が手作業で「死貝」が混ざっていないかを一粒一粒調べていきます。床に転がしたときの音や、コンクリートに打ちつけたときの響きで判断します。長年の経験を必要とする職人技です。
つまり、みなさんが当たり前のように食べているしじみは、漁師の目利きで選ばれた極上品というわけです。