以前の記事で、「軟体部観察法」のやり方をご紹介しました。
今回は、よりマニアックな「軟体部指数法」と「組織学的観察法(組織切片法)」の紹介をさせていただきます!
これを知っているだけであなたは相当なしじみマニアです。
軟体部指数法:計算式で生殖周期を見る方法
軟体部指数法は、ある計算式によって%で単体部指数を出す方法です。
その式がこちら。
式:軟体部指数(%) = 軟体部湿重量殻付き湿重量 × 100
軟体部湿重量は、しじみの中身の重量で、殻付き湿重量は殻を含めた重さです。この二つの重さを使うことで、軟体部指数を出すことができます。こうして出した軟体部指数を、1年を通して計測し、しじみの生殖周期を把握していきます。
ですが、指数の計算はあくまで概算値であるため、生殖周期の把握方法としては簡易的な方法であることに注意が必要です。
より正確な生殖周期を知るためには「組織学的観察法」を行う必要があります。
組織学的観察法(組織切片法):専門家が行う方法
ヤマトしじみの生殖周期を把握する3つの方法のうち、もっとも正確に生殖周期を知ることができる方法です。でも、もっとも難しい方法でもあります(笑)
組織学的観察法は、別名「組織切片法」とも呼ばれ、その名の通り生殖巣の組織細胞を観察することで、生殖細胞の形成過程と生殖巣の成熟過程を調べる方法です。
しじみの生殖細胞の組織切片を作成する専門的な技術と、作成した切片から生殖細胞の形成過程、成熟過程を読み取る専門的な知識を必要とする方法のため、一般の方はまず行いません。
細胞の確認をするために、電子顕微鏡が必要なので、どうしてもやってみたい方は用意してみてください(笑)
しじみ豆知識:マシジミには性別がない!
(引用画像:社団法人 日本水産資源保護協会「わが国の水産業」)
嶋田のブログではヤマトシジミを例に挙げてお話をすることが多いですが、日本には三種類のしじみがいます。
雄と雌があり、汽水湖や河川感潮域の汽水域にのみ生息するヤマトシジミ、琵琶湖水系の淡水域にしか生息していないセタシジミ。そして、雄と雌が存在しないマシジミ。
そう、この中で唯一性別が無いのがマシジミ。彼(彼女?)は雌雄同体と呼ばれる特性を持ち、自分だけで受精することができます。
(他にもカタツムリなどが雌雄同体の生物)
同じしじみでも、色々な個性があるんだよ、という豆知識でした(笑)