シジミは非常に選別の難しい生き物です。見た目は生きているように見えても、実際は死んでいるなんてこともよくあります。
ですが、皆さんに美味しいしじみを届ける為にも、出荷前には必ず生きている貝と死んでいる貝を分ける必要があります。
そこで今回は、具体的な見分け方や、選別の流れや、ちょっと専門的な用語についても紹介させていただければと思います!
目次
ガボとは貝殻の中に泥が詰まった死骸
貝殻の中に泥が詰まった死骸を「ガボ」と呼びます。(その他にも「ガッポ」、「バクダン」など)これはしじみ漁師の天敵とも言えるほどのもので、このガボをいかに取り除くかを日々考えながら過ごしています。
ではなぜガボがあると良くないのか?最もイメージしやすい場面は、お味噌汁に入れた場合です。この時、ガボが混ざっていると、お味噌汁の中に泥が入ってしまいます。どれだけ美味しいお味噌汁を作っていたとしてもその時点で台無しになってしまいますよね。
そんなことが起きないよう、漁師の間ではいくつかの選別方法が採用されています。少しマニアックな話ですが、紹介させてください。
一般的なしじみ漁の選別の流れ
しじみの選別にはいくつかの機材を使う漁師も少なくありません。
一般的なもので言えば「回転式選別機」や「平通し選別機」でシジミの大きさを大まかに選別することができます。これを船上で一回、陸で一回行い、さらにそこから「ふるい」を使用して選別、そして最後は手作業でガボの選別を行います。
この後、シジミを一つひとつコンクリートの上に落とし、落とした時の音や響きなどでガボかどうかを見極めていきます。ここからは手作業になるので、根気と技術の勝負です。
ほとんどのしじみ漁師は、ガボを見分ける技を持っています。これは決して一朝一夕で身につけられる物では無いですが、比較的簡単な方法を次の見出しで紹介したいと思います。
ガボ見分ける4つのポイント
ガボを見分けるには大きく4つのポイントがあります「殻の後縁部(広い方)がギザギザに削れている」、「他のしじみと比べて極端に軽い」、「殻の表面のツヤが全くない」、「靭帯が凹むかどうか」です、それぞれ詳しく見ていきましょう。
殻の後縁部(広い方)がギザギザに削れている
正常なしじみは、後縁部が滑らかな曲線を描いています。これがガボになると、ノコギリの歯のようにギザギザになっていることが多いです。目で見てわかるものもあれば、実際に触った時の感触でわかることもあります。
他のしじみと比べて極端に軽い
死んだしじみは、生きているしじみと比べて軽くなることがほとんどです。重さだけでなく、揺らすとカラカラと音が鳴るものもあります。
殻の表面にツヤが全くない
生きているしじみは殻がテカテカと光っており、ツヤがあります。逆に、ガボのような死んだ貝はツヤが全く無く、光の反射が少ないため見分けやすいんです。
靭帯が凹むかどうか
「しじみの靭帯ってどこだよ!」と思われた方、そうですよね(笑)
しじみの部位については、「ヤマトしじみの見た目と中身の解説記事」で紹介させてもらったので、もし良ければご覧ください!
さて、本題です。これは「日本シジミ研究所」という所が発見した画期的な方法なのですが、靭帯を見るとガボかどうか判別できると言うのです。
具体的には、しじみの靭帯を指やピンセットで押して凹んだ場合、もしくは靭帯の膨らみが削れて無くなっている場合はガボである確率が高いという内容です。
以上がガボを見分けるポイントです。しじみ漁師はかなり注意を払いガボを取り除くよう努めていますが、ごく稀に商品の中に入ってしまうことも。料理をする前などに少しだけしじみに目を配っていただけると、その後の料理もより美味しくなるかと思います!