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水質改善をする究極の生物「しじみ」。その秘密を宍道湖を例にして解説します

しじみの特徴 水質改善をする究極の生物「しじみ」。その秘密を宍道湖を例にして解説します

今まで、しじみの美味しさや栄養素についてお話することが多かったと思います。

ですが、しじみの生活については全然お話できていないことに気付きました。

そこで今回は、しじみが湖でどのような活動をしているのか、水質の面から見ていきたいと思います。

やや難しいお話ですが、なるべく具体的な数字を多く、わかりやすく伝わるようにしていますので、ぜひ読んでみてください!

窒素やリンとしじみの関係

しじみは、湖内の窒素循環において重要な役割を持っています。

宍道湖のヤマトしじみは、1日に全体で約22トンの窒素を取り込み、水中の窒素同化産物として約133トンの窒素を体内にストックしていることがわかりました。

さらに1日当たり、6.5トンの糞を排泄します。実はしじみの糞は、他のゴカイなど水域の底質の中に生息する生物により食べられます。

尿は約4トンであり、無機質窒素として排出されます。その無機質窒素を植物プランクトンが再利用し、その植物プランクトンをしじみが餌として食べる、という循環が出来上がっているんです。まさにしじみに余す所無し。

以上のように、ヤマトしじみは多くの窒素を取り込み、排出物は他の生物の助けとなることがわかっています。特に、窒素循環については重要で、宍戸湖の生態系の中でも最も活躍しているんだとか。

しじみのろ過作用

しじみのろ過作用

しじみが存在するだけで、その湖はキレイになるんです。これは、しじみの食事風景に秘密が隠されていました。

しじみは餌を食べる時、入水管と言われる部分から湖の水を飲み込みます。そして、エラで不要な物を取り除いて栄養にし、キレイになった水を湖に戻します

「日本シジミ研究所」が行った実験によると、しじみは1時間あたり0.17Lの水をろ過していたとのことです。少ないように聞こえるかもしれませんが、しじみは数千〜数万トン単位で存在します。例えば、宍戸湖であれば約31000トンのしじみが存在しており、しじみ全体によるろ過量は1時間あたり約52億Lになります。

宍戸湖の水量は3600億Lなので、湖全体の水を約3日でろ過できる計算になります。やっぱりしじみって凄い。

漁獲による水質浄化作用

漁獲による水質浄化作用

実はしじみ本体だけでなく、しじみの漁獲による水質浄化作用も大きいんです。簡単に説明すると、以下の通りになります。

しじみの漁獲による水質浄化作用
  1. 湖の中にある栄養塩を除去するための現実的な方法がほぼ無い
  2. 栄養塩には窒素やリンが含まれる
  3. しじみは多くの窒素、リンを含んでいる
  4. しじみを漁獲することで、窒素、リンを湖の外へ持ち出すことができ、湖の環境改善に繋がる

少し古い調査にはなりますが、1982年、宍道湖で行われた調査によるとヤマトしじみは年間で約15000トンの漁獲量があり、そのしじみの中に約66.5トンの窒素と、約5.8トンのリンが含まれていたんです。

間接的にこの量のヘドロを取り除いていたということになりますね。水質改善に関われていて嶋田も嬉しいです。

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