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汽水湖で生き残るための術!柔軟なしじみの「適応力」を解説します

網走湖の話 汽水湖で生き残るための術!柔軟なしじみの「適応力」を解説します

しじみが住んでいるのは、かなり厳しい環境の汽水湖。

そんな汽水湖で、どのようにして生き残っているか興味ありませんか?

今回は、そんな嶋田と同じしじみマニアな方に向けて、わかりやすく解説させていただいきます!

汽水湖に存在する二枚貝の環境耐性

汽水湖に存在する二枚貝の環境耐性

汽水湖には数種類の二枚貝が存在しています。例えば、アサリ、サルボウ、ホトトギスガイなど。ヤマトしじみもその中の一つですね。

汽水湖で生き残っていることからもわかる通り、彼らの環境耐性は非常に高いです。例えば、30℃までの水温であれば余裕で生き残り、酸素が少なかろうとも生き残ります。

そんな中で、最も強い環境耐性を持つのが「ヤマトしじみ」なんです。

早速ヤマトしじみの適応力のお話をしたいところですが、汽水湖の環境について知っていた方が更に面白くなるので、先にヤマトしじみが住む環境である汽水湖についてお話させてください。

汽水湖は厳しい環境

汽水湖は厳しい環境

淡水と海水が混じり合って湖になっているのが汽水湖です。川と海両方の影響を受ける汽水湖は環境の変化が激しい場所として知られています。

例えば、夏になると海水が湖に流れ込み、塩分が急激に変化することから塩分躍層と呼ばれる境界が発生します。網走湖も例外でなく、「淡水層」と「塩水層」に分かれており、塩水層の方は貧酸素状態になっていることが多いです。

逆に冬になると、塩分濃度が低くなり、水の温度も低下することから死亡してしまうしじみも少なくありません。特に浅いところに居るしじみはこの影響を受けやすく、深いところにいるしじみの2倍以上も死亡率が高かったんです。

このように、季節によって環境が大きく変わるのが汽水湖です。その厳しさは並の生物では生きていけないほど。では、しじみななぜ汽水湖で生きられるのでしょうか?次の見出しでは、しじみの適応力についてお話したいと思います。

また、汽水湖について気になる方は、以下の記事で解説していますのでぜひご覧ください。

ヤマトしじみは適応力が高い

汽水湖は環境の変化が大きいことは先ほどお話しました。では、そんな厳しい環境に対してどのように適応しているか?今回は「塩分変化」と「酸素不足」に焦点を絞ってお話させていただきます。

塩分変化への適応

塩分変化への適応

水生生物の多くは、環境水の変化に対応し、それぞれ代謝調整機構で体内の環境を調整し適応することで生き残ることができます。特に塩分濃度については、浸透圧の関係で非常に重要な要素であり、汽水湖はこの塩分濃度が変化しやすい環境にあります。

そんな中、生き残っているしじみはどのように変化しているのでしょうか?

細胞内の浸透圧を適切に調整するためには、ある物質が必要になります。その物質は「オスモライト」と呼ばれ、しじみのオスモライトは「遊離アミノ酸」であり、その主成分は「アラニン」や「グルタミン酸」になります。しじみの旨み成分として有名ですよね。

遊離アミノ酸を増減させることにより、しじみは塩分濃度を調整し、汽水湖という厳しい環境でも生き残っています。

ですが、汽水湖で生き残る課題は塩分濃度だけではありません。

酸素不足への適応

酸素不足への適応

溶存酸素に関する記事」でもお話した通り、汽水湖の底は低酸素化しやすい傾向にあります。そんな汽水湖で生きる二枚貝は、基本的に貧酸素への耐性が高いと言われていますが、その中のトップこそがヤマトしじみなんです。

では、ヤマトしじみはどのようにして貧酸素状態に適応しているのか?少し生物学的でマニアックな話になりますが、聞いてください(笑)

「日本シジミ研究所」が行った実験によると、以下のことがわかりました。

ヤマトしじみはどのようにして貧酸素状態に適応しているのか?
  • しじみは貧酸素状態になると酸素消費量を急激に低下させる
    (無機的呼吸によりグリコーゲンなどを消化する)
  • 無酸素状態の初期はコハク酸、アラニンの蓄積代謝系で対応する
  • 無酸素状態が侵攻すると、プロピオン酸や酢酸系の代謝を導入する

これをまとめると、しじみは酸素が少なくなると、別の物質を体内で化学反応させてエネルギーに変換するということになります。あくまで実験の結果から導き出された答えなので、絶対そうだ!とは言い切れませんが、しじみの体内で凄いことが起きているのは確かです。それは、しじみが汽水湖で生き残っている事実が物語っていますよね。

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