みなさん、「しじみ」はお好きですか?
味噌汁やすまし汁、パスタや和え物、炊き込みご飯など、色々な料理に使えるしじみですが、美味しい時期があるということをご存知でしょうか。
しじみは年中食べられるものなので、旬を意識したことがないという方も多いと思います。
そこで今回は、現役漁師兼しじみバカこと嶋田漁業部が、しじみの旬について詳しく説明していきます。
しじみを美味しく食べる方法やレシピなどもご紹介します。ぜひ参考にしてみてくださいね。
目次
しじみの旬は年に2回ある
野菜や魚介類の多くは年に1度が旬ですが、しじみは年に2度、旬の季節が訪れます。
季節を問わず一年中食べられるしじみですが、夏の「土用しじみ」と冬〜春先の「寒しじみ」は特に旨みが濃く、おいしく食べられます。
夏:7月下旬〜8月中旬の「土用しじみ」
しじみバカとして声を大にしてオススメしたいのが夏の「土用しじみ」。これは網走湖の漁師の間では常識です。
産卵を控えたしじみは養分をたっぷり貯えているせいか、旨味が濃くて、食感もいい。しじみのなかでも極上品です。
産卵期はその年の水温や塩分濃度の影響を受けて変動し、最近は7月下旬から8月中旬頃。ぜひ、一度その時期のしじみをご賞味いただきたいものです。
下の表は、しじみのうま味成分であるコハク酸の含有量を、月ごとに調べた結果です。8月のしじみは1粒あたり2.17mg/粒。対して、9月に採ったしじみの含有量は0.25mg/粒。実に8.68倍もコハク酸が多く含まれているという結果になりました。
つまり、八月のしじみが一番うまいのです。
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冬:4月下旬〜5月の「寒しじみ」
しじみが獲れる地域にもよりますが、網走湖では春先に獲れるしじみが絶品。4月下旬から5月にかけて採れるしじみは、極寒の網走湖で生き抜いてきたしじみ。低い水温で身が締まり、甘みが強いです。
産卵期を控え、栄養を蓄えはじめる時期でもあるため、栄養価の高さもウリ。肝機能を向上してくれるオルニチンや、多くのアミノ酸を含んでおり、社会人の方にはぜひおすすめしたい食材です。
しじみを美味しく食べる方法・コツ
美味しい旬のしじみをもっと美味しく味わうために、以下の5つのポイントをおさえましょう。
- 「ガボ」がない新鮮なしじみを選ぶ
- 温かいうちに食べる
- しじみは水と一緒にひと煮立ちさせるだけ
- しじみをたくさん使う
- 砂抜きは塩水・浅いザルを使って重ならないように広げて行う
①「ガボ」がない、新鮮なしじみを選ぶ
しじみはスーパーに並ぶ前に大きさで選別し、「ガボ」とよばれる貝殻の中に泥が詰まった死骸だけのしじみを抜いています。
ほとんどのしじみ漁師はガボを見極めて抜いていますが、ガボは手作業で取り除くため、漁師の目をすり抜けている可能性があるため、買う際はお客さんも注意が必要です。
スーパーでしじみを選ぶ際は、改めて確認しましょう。
- 後縁部が滑らかな曲線になっている。
- 揺らしても、カラカラと鳴らない。
- 貝殻にツヤがある。
- 重量がある。
新鮮な貝の特徴に当てはまれば自然とガボはなくなり、しじみ汁に泥が混じる可能性を減らせます!
②しじみは水と一緒にひと煮立ちさせるだけさせる
鍋に水としじみを入れて沸騰させ、しじみの殻が空いたらすぐに火から降ろしてください。
弱火にするだけでもいいですが、煮込みすぎないようにするには火を止めたほうが間違いがないです。
弱火にした状態でコトコトと煮だそうとする方がいらっしゃいますが、しじみのうまみが汁に溶けだし過ぎてしまい、しじみ本体の美味しさが損なわれてしまいます。
③しじみをたくさん使う
しじみは美味しさの源です!
様々な栄養素やうま味成分が含まれているため、しじみをたくさん入れれば入れるほどうま味をたっぷり感じられます。
新鮮なしじみの良質な出汁は、どんな料理でも重要です。今だけもったいない精神を捨てて、たくさん使ってください!
④温かいうちに食べること
近年、冷たいスープも出始めています。もちろん美味しいです。しかし、しじみ料理は温かいものが王道。召し上がる際はぜひ出来立てを!
⑤砂抜きは塩水・浅いザルを使って重ならないように広げて行う
しじみの砂抜きのポイントは3つあります。
- 塩水濃度1%の塩水で行うこと
- 浅いザルを使い、水面ギリギリにする。
- しじみ同士が重ならないように寝かせる。
砂抜きの方法は難しいことはほぼありません。この3つだけ守って1晩寝かせれば、しじみは綺麗に砂を出してくれるでしょう。
しじみを使ったレシピ例
しじみの旬や美味しく食べるコツを踏まえた上で、実際にしじみを使ったレシピを一部ご紹介します。ぜひ作ってほしいレシピはこの3つです。
- しじみ汁(味噌汁)
- クラムチャウダー
- しじみ粥
しじみの味噌汁
材料・道具(2人前)
- 鍋
- しじみ 10~20個
- 水 適量
- 味噌 適量
しじみの味噌汁の作り方
- しじみの砂出しをする。
- 鍋に水と一緒にしじみを入れて、ひと煮立ちさせる。
- 沸騰後、鍋を火からおろす。
- アクをとって味噌を溶かす。
お味噌汁はなじみのある方も多いのではないでしょうか?
みなさんが普段作っている通りのレシピかもしれません。5つのポイントを守りながら、アクをとって味噌を入れるだけで、簡単に作れちゃいます。
しじみは、砂抜きさえしてしまえば、1年もの長い期間冷凍保存ができるため、忙しい朝でも簡単。
ぜひ、毎朝ご飯のお供にしじみの味噌汁をご賞味ください。
クラムチャウダー
材料・道具(2人前)
- 鍋
- フライパン
- しじみ 200g
- 玉ねぎ 1/2
- にんじん 1/4
- じゃがいも 1個
- しめじ 1/2
- ター 大さじ1
- 小麦粉 大さじ1
- 牛乳 200ml
- コンソメ 1個
- 酒 25cc
- 塩コショウ 適量
- パセリ お好み
しじみのクラムチャウダーの作り方
- しじみの砂出しをして、洗う。
- すべての野菜を1cm程度の角切りにし、しめじは石づきを切って小房に分ける。
- フライパンにしじみと酒をいれて、蓋をしめて酒蒸しにする。
- 鍋にバターを入れて、②の野菜としめじを火が通るまで炒める。
- ④の野菜がしんなりしてきたら、小麦粉を振り入れて炒める。
- ⑤が焦げる前に、水300mlとコンソメを入れて、野菜が柔らかくなるまで煮る。
- 野菜が柔らかくなったら牛乳と③のしじみを煮汁ごと入れる。
- 塩コショウで味を調え、飾りでパセリをちらす。
しじみといえば、クラムチャウダー!冬に食べたくなる料理ですね。
牛乳・野菜・しじみの旨みが溶けだしたスープは、スプーンですくうとトロ〜ッリとしていてまろやか。
パンと一緒でも美味しいですが、しじみのエキスが含まれているためご飯にもピッタリです。
しじみ粥
材料・道具(2人前)
- 鍋
- 炊飯器
- お米 一合
- 水 6カップ(1.2L)
- カブや大根の葉 適量
- 白だし 10g
- 塩 適量
しじみのお粥の作り方
- しじみの砂出しをして、よく洗う。
- 鍋にしじみを入れてヒタヒタになる程水を入れて沸騰させ、5〜10分程度煮る。しじみと煮汁を別々にする。
- カブや大根の葉を1cm角に切る。
- 1合分のお米を研いで、内釜に、②のしじみの煮汁・塩・③の半分を入れて、水量を合わせ、炊飯する。
- おかゆが炊きあがったら、③の半分・塩だしをまぜて5分ほど蒸らせば完成。
風邪をひいたときに食べたいおかゆですが、玉子や梅のおかゆばかりでは飽きてしまいます。そこで、出汁の風味が香るしじみ粥はいかがでしょうか。
しじみの旨味がじんわりと広がる、弱ったお口・胃にやさしいおかゆです。苦味が残りやすい大根やカブの葉ですが、トロトロに煮たら野菜らしい臭みや苦みも薄れて食べやすく、栄養も満点!
身体をいたわる方にぜひ試していただきたい、元気の出る一品です。
嶋田漁業部の「八月のしじみ粥」
そして、しじみバカこと嶋田漁業部が作ったしじみ粥。これもぜひ一度試していただきたいんです。一番うまい八月のしじみ。その旨みがたっぷりっと詰め込まれたお粥で、開発には
1年以上の歳月がかかりました。
⼀⾒地味な料理、粥を選んだのは、しじみの良さが最⼤限引き⽴つからに他なりません。
極限まで研ぎ澄ました味わいにするべく、もちろん化学調味料は不使⽤。
⼝にすれば、滋味深い味わいに、 思わず「あ〜」という声が漏れること間違いなしです。
網⾛湖で産まれた⾙の、底知れぬ⼒。
⼤切な⽅の⾝体を気づかう、贈り物としても⾃信を持っておすすめできます。
八月のしじみ粥をみてみるしじみのレシピについて
まとめ
今回は「しじみの旬」について解説しました。年に2回訪れるしじみの旬。網走湖で獲れるしじみは7月下旬〜8月中旬の土用しじみと4月下旬〜5月の寒しじみが最高に美味しいです。
旬のしじみを美味しく食べてもらうためにも、下処理のコツやおすすめのレシピをご紹介しました。ぜひ参考にしてみてください。
嶋田漁業部のブログではしじみの味噌汁を始めとするしじみ料理のテーマの記事をたくさん掲載しています。しじみ料理が気になる方は、ぜひチェックしてみてくださいね。
しじみの料理 一覧 | 嶋田漁業部