しじみが身体に良いというのは皆様もご存じでしょう。しかし、いざ買ってみたり、もらったりした際、どう調理していいのか戸惑ってしまう方も多くいらっしゃいます。
そこで、網走湖でしじみ漁をしている嶋田漁業部が、しじみを食べるためのコツから砂抜きの方法・レシピ・保存方法・解凍方法など、しじみの美味しい食べ方をご紹介させていただきます!
しじみの美味しい食べ方が丸ごと載っているため、ぜひ毎日の献立にもお役立て下さい。
しじみを美味しく食べる5つのコツ
美味しいしじみ汁を作るには5つのポイントを抑えておくことが肝となります。
- 「ガボ」がない新鮮なしじみを選ぶこと。
- 温かいうちに食べること
- しじみは水と一緒にひと煮立ちさせるだけさせること。
- しじみをたくさん使うこと。
- 砂抜きは塩水・浅いザルを使って重ならないように広げて行うこと。
それでは、5つのポイントをそれぞれ解説していきましょう。
①「ガボ」がない、新鮮なしじみを選ぶこと。
しじみはスーパーに並ぶ前に大きさで選別し、「ガボ」とよばれる貝殻の中に泥が詰まった死骸だけのしじみを抜いています。
ほとんどのしじみ漁師はガボを見極めて抜いていますが、ガボは手作業で取り除くため、漁師の目をすり抜けている可能性があるため、買う際はお客さんも注意が必要です。
スーパーでしじみを選ぶ際は、改めて確認しましょう。
- 後縁部が滑らかな曲線になっている。
- 揺らしても、カラカラと鳴らない。
- 貝殻にツヤがある。
- 重量がある。
新鮮な貝の特徴に当てはまれば自然とガボはなくなり、しじみ汁に泥が混じる可能性を減らせます!
②しじみは水と一緒にひと煮立ちさせるだけさせること。
鍋に水としじみを入れて沸騰させ、しじみの殻が空いたらすぐに火から降ろしてください。
弱火にするだけでもいいですが、煮込みすぎないようにするには火を止めたほうが間違いがないです。
弱火にした状態でコトコトと煮だそうとする方がいらっしゃいますが、しじみのうまみが汁に溶けだし過ぎてしまい、しじみ本体の美味しさが損なわれてしまいます。
③しじみをたくさん使うこと
しじみは美味しさの源です!
様々な栄養素やうま味成分が含まれているため、しじみをたくさん入れれば入れるほどうま味をたっぷり感じられます。
新鮮なしじみの良質な出汁は、味噌汁でもすまし汁にしても重要です。今だけもったいない精神を捨てて、たくさん使ってください!
④温かいうちに食べること
近年、冷たいスープも出始めています。もちろん美味しいです。しかし、しじみ汁は温かいほうがおいしいので、ぜひ出来立てを召し上がってください!
⑤砂抜きは塩水・浅いザルを使って重ならないように広げて行うこと。
しじみの砂抜きのポイントは3つあります。
- 塩水濃度1%の塩水で行う
- 浅いザルを使い、水面ギリギリにする
- しじみ同士が重ならないように寝かせる
砂抜きの方法は難しいことはほぼありません。この3つだけ守って1晩寝かせれば、しじみは綺麗に砂を出してくれるでしょう。
とはいっても、砂抜きのやり方を知らないという方も多いですよね。そこで、もっと詳しくしじみの砂抜きの方法をご紹介します。
しじみの砂抜き方法
しじみの砂抜き方法は、意外と簡単で”たったの3工程”です。
- バットに塩分濃度1%の塩水を作る。
- 浅いザルに重ならないようにしじみを入れて、ザルごとバットに沈める。
- 一晩、塩水に漬けて、完成。
しじみの砂抜き方法は単純ですが、当然、砂抜きをするためには生きているしじみを使う必要があります。生きているしじみのお世話をするために必要なことは、別に3つあります。
- 真水ではなく塩水(塩水濃度1%)で水抜きする
- 浅いザルを準備する
- 重ならないよう漬ける
最後までしじみのお世話をするために、「塩水濃度1%の塩水で行う」ことと「浅いザルに載せる」・「重ならないよう漬ける」ことが大切です。
どうして、3つのポイントを守って砂抜きをしなくてはならないのか、理由を知りたい方は「しじみバカが教える「しじみの砂抜き・保存方法」時間・準備・ポイントまで完全ガイド」をご覧ください。
- バット
- 浅いザル
- しじみ
- 水(水道水でもOK)
- 塩
しじみを美味しく食べるレシピ
しじみを砂抜きしたのなら、次は美味しく食べちゃいましょう!ぜひ作ってほしいシジミ料理を8つご紹介します。どれも砂抜き必須のレシピのため、頑張って砂抜きしたしじみをぜひ有効活用してみてください。
超定番!「しじみの味噌汁」
材料・道具(2人前)
- 鍋
- しじみ 10~20個
- 水 適量
- 味噌 適量
しじみの味噌汁の作り方
- しじみの砂出しをする。
- 鍋に水と一緒にしじみを入れて、ひと煮立ちさせる。
- 沸騰後、鍋を火からおろす。
- アクをとって味噌を溶かす。
お味噌汁はなじみのある方も多いのではないでしょうか?
みなさんが普段作っている通りのレシピかもしれません。5つのポイントを守りながら、アクをとって味噌を入れるだけで、簡単に作れちゃいます。
しじみは、砂抜きさえしてしまえば、1年もの長い期間冷凍保存ができるため、忙しい朝にも簡単にできます。
ぜひ、毎日の朝ご飯のお供にしじみの味噌汁をご賞味ください。
お正月やお祝い事に!「しじみのすまし汁」
材料・道具(2人前)
- 鍋
- しじみ 10~20個
- 水 4カップ
- 酒 小さじ1
- 醤油 小さじ3
- 塩 適量
- 小葱 適量
- 胡椒 適量
- ゆず 適量
しじみのすまし汁の作り方
- しじみの砂出しをする。
- 鍋に水と一緒にしじみを入れて、ひと煮立ちさせる。
- 沸騰後、鍋を火からおろす。
- 塩、酒、醤油を少々入れる。
- 小葱、胡椒、ゆずをお好みで加える。
すまし汁の難しいところは、塩・酒・醤油のバランスです。
料理になれている方は美味しい黄金比を知り尽くしていると思いますが、作りなれていない方は、酒:醤油=1:3の比率で入れてください。良い感じの濃い口になります。
塩はお好みで大丈夫です。
酒は入れすぎると、アルコールを飛ばすためにもう1度煮立たせる必要が出てくるため、少量から入れてみてください。
しじみを贅沢に使った「しじみの中華風炒め」
材料・道具(2人前)
- フライパン(中華鍋)
- しじみ 500g(殻の重さ含む)
- 長ネギ 1/2
- にんにく 少々
- 生姜 少々
- 豆板醬 適量
- A.醤油 大さじ1
- A.お酒 大さじ1
- A.オイスターソース 大さじ1
中華風しじみ炒めの作り方
- 長ネギ・ニンニク・生姜をみじん切りにする。
- 中華鍋を火にかけて油を入れて、①と豆板醤を入れる。
- 豆板醤の香りが立つまで炒め、殻ごとしじみを入れて蓋をする。
- しじみの殻が開いたらAを入れて、1〜2分ほど蓋を開けながら煮詰める。
- 器に盛ったら、ネギを入れて完成。
中華風のご飯・お酒が進む辛みが効いた一品。
熱々のシジミの汁に絡めてホクホクのご飯と一緒に食べれば、すぐにキンキンに冷えたお酒で流し込んでまたすぐにしじみを頬張りたくなります…!
ぜひ、暑い夏盛りの夜にいかがでしょうか?
お酒のおつまみにぴったり「しじみのしぐれ煮」
材料・道具(2人前)
- 鍋
- 殻外し用の小さめのスプーン
- しじみ 600g(殻を含む)
- お酒 大さじ2
- A.砂糖大さじ1
- A.醤油大さじ1
- A.お酒大さじ1
- B.生姜 お好み
- B.みりん 大さじ1
しじみのしぐれ煮の作り方
- しじみの砂出しをして、洗う。
- お酒を回し入れて蓋をして、蒸す。
- しじみの貝の口が開いたら、汁としじみを分ける。ザルでこしましょう。
- 酒蒸ししたシジミを、身と殻に分ける。(殻が熱い場合スプーンでとるといい。)
- ③で分けた汁を鍋に戻してAを入れて煮立たせる。
- ⑤を1~2分煮た後、Bを入れてとろみがつくまで煮詰める。
- 煮詰めた⑦にしじみを戻して汁に絡めたら、完成。
しぐれ煮は、万能料理です!
単体でもお酒のお供に合いますし、ご飯のうえにのせてだし汁をかけてお茶漬け風にしても美味しい作り置きに便利なしじみ料理。
味がしみこんだしじみを噛むと、ジュワッとうま味と甘味が染み出すため、真っ白なご飯とツンとした辛みのあるお酒との相性が抜群です。
余った分は朝食にしてもいいですし、おにぎりにしてお昼ご飯にしても良いですね。
しじみ漁師が開発したマル秘レシピ「しじみのクラムチャウダー」
材料・道具(2人前)
- なべ
- フライパン
- しじみ 200g
- 玉ねぎ 1/2
- にんじん 1/4
- じゃがいも 1個
- しめじ 1/2
- ター 大さじ1
- 小麦粉 大さじ1
- 牛乳 200ml
- コンソメ 1個
- 酒 25cc
- 塩コショウ 適量
- パセリ お好み
しじみのクラムチャウダーの作り方
- しじみの砂出しをして、洗う。
- すべての野菜を1cm程度の角切りにし、しめじは石づきを切って小房に分ける。
- フライパンにしじみと酒をいれて、蓋をしめて酒蒸しにする。
- 鍋にバターを入れて、②の野菜としめじを火が通るまで炒める。
- ④の野菜がしんなりしてきたら、小麦粉を振り入れて炒める。
- ⑤が焦げる前に、水300mlとコンソメを入れて、野菜が柔らかくなるまで煮る。
- 野菜が柔らかくなったら牛乳と③のしじみを煮汁ごと入れる。
- 塩コショウで味を調え、飾りでパセリをちらす。
しじみといえば、クラムチャウダー!冬に食べたくなる料理ですね。
牛乳・野菜・しじみのエキスが溶けだしたスープは、スプーンですくうとトロ〜ッリと落ろやかさ。
パンと一緒でも美味しいですが、しじみのエキスが含まれているためご飯にもピッタリです。
しじみ出汁が五臓六腑に沁みわたる!「しじみラーメン」
材料・道具(2人前)
- なべ 2つ
- しじみ 30~40個
- 中華麺 2玉
- A.昆布だし 600ml
- A.白だし 大さじ1
- A.酒 大さじ2
- A.塩 適量
- ねぎ 適量
※ラーメンに付属している汁がある場合は、Aはなくても大丈夫です。
しじみラーメンの作り方
- しじみの砂出しをして、よく洗う。
- 鍋で昆布から出汁をとり、お酒・塩・白だしを加える。
- 砂抜きしたしじみを入れる。
- 麺を袋に書かれた通りに茹でる。
- 器に出汁・麺を盛り付け、お好みでネギをのせる。
油が多いイメージのラーメンですが、しじみを入れるだけで健康に気を使った食べ物に見えるのは不思議ですよね。
美味しいラーメンの汁がある場合は、汁に入れるお湯の分量でしじみの出汁とスープと混ぜて食べてみても美味しいです。しじみの風味を強く感じるには塩ラーメンがおすすめ!
土曜の昼下がりに自宅で食べたい「しじみパスタ」
材料・道具(2人前)
- なべ
- フライパン
- しじみ 30~40個
- パスタ 2人前
- お酒 50g
- 昆布醤油 大さじ2
- バター 20g
- 刻み海苔 適量
- しそ 適量
しじみパスタの作り方
- しじみの砂出しをして、よく洗う。
- 袋に書かれたパスタの茹で方より、2分短く茹でる。
- ①のしじみにお酒を入れて蓋を閉めて、しじみの口が開くまで酒蒸しにする。
- ③からしじみを取り出し、酒蒸しで出た汁に昆布醤油を入れて加熱する。
- ④に②のパスタを入れて2分ほど煮込む。
- 麺がちょうどいい固さになったら、フライパンにバター・しじみ・刻み海苔を入れて絡める。
- 盛り付けて、完成。
昆布出汁の効いた醤油に、しじみの旨味が溶けだした香り高さをプラスした香ばしいパスタです。
パスタだけじゃなくとも、昆布だしの醤油・バター・海苔の組み合わせは香りだけじゃなく海の恵みが溶けだした醤油にさらにしじみまで加わったごほうびにいかがでしょう?
味がしっかりとパスタに絡んでいるため、美味しさが持続するパスタです。
しじみを究極に味わうならこれ!「しじみのお粥」
材料・道具(2人前)
- なべ
- 炊飯器
- お米 一合
- 水 6カップ(1.2L)
- カブや大根の葉 適量
- 白だし 10g
- 塩 適量
しじみのお粥の作り方
- しじみの砂出しをして、よく洗う。
- 鍋にしじみを入れてヒタヒタになる程水を入れて沸騰させ、5〜10分程度煮る。しじみと煮汁を別々にする。
- カブや大根の葉を1cm角に切る。
- 1合分のお米を研いで、内釜に、②のしじみの煮汁・塩・③の半分を入れて、水量を合わせ、炊飯する。
- おかゆが炊きあがったら、③の半分・塩だしをまぜて5分ほど蒸らせば完成。
風邪をひいたときに食べたいおかゆですが、玉子や梅のおかゆばかりでは飽きてしまいます。そこで、出汁から少し変わったしじみ粥はいかがでしょう。
野菜の苦みよりもしじみの旨味がガツンと来るため、弱ったお口・胃にやさしいおかゆです。大根やカブの葉は残りやすいですが、栄養満点でトロトロに煮たら野菜らしい臭みや苦みも薄れて食べやすくなります。
和風の白出汁としじみとの相性は抜群ですし、しじみのむき身はしぐれ煮などにも使えるため、一挙に2品も作れちゃう、おすすめの1品です。
しじみの保存方法
砂抜きしたしじみを保存する方法は2つ。
- 冷蔵保存
- 冷凍保存
むき身・殻付きどちらでも冷蔵・冷凍保存ができるため、参考にしてみてください。
冷蔵・冷凍どちらで保存するべきかは、しじみを使う日数によります。
しじみを使いたいタイミングを考えて、保存方法を選択できるといいでしょう。
冷蔵する場合
3日程度保存するなら、冷蔵保存で十分です。
砂抜きしたしじみが乾かないように、水で湿らせた新聞紙や布にくるんで冷蔵庫に入れておきましょう。
新聞紙や布に湿り気がなくなったら、また水で湿らせて乾かないように気を付けてください。
冷蔵庫とはいえ、奥のほうに入れておくと霜がついてしまう場合もあるため、見える場所に入れておきましょう。
冷凍する場合
3日以上使わない予定なら、冷凍保存してしまいましょう!
しじみをビニール袋に入れて小分けに冷凍保存すると、1年保存できます。
ただ、なんとなく、冷凍した海産物は鮮度が落ちて美味しくなくなるイメージがありませんか?
実は、しじみは冷凍することでうまみ(出汁)成分がアップします!
旨味を引き出すなら冷凍がおすすめ
しじみに含まれる主なうま味成分は、コハク酸・オルニチン・グルタミン酸の3つです。生のしじみと冷凍しじみのうまみ成分をご紹介します。
生・冷凍しじみのうまみ成分比較(しじみ汁100g当たり)
生のしじみのうま味成分(mg/100g) | 冷凍しじみのうま味成分(mg/100g) | うま味成分の差(mg/100g) | |
---|---|---|---|
コハク酸 | 12.6 | 14.7 | 2.1 |
オルニチン | 0.5 | 7.1 | 6.6 |
グルタミン酸 | 2.5 | 3.6 | 1.1 |
どのうまみ成分も軒並み上がっているんです…!
しじみを冷凍しただけで倍以上のうま味成分が増加するなんてオトクな気分ですね。
しじみは栄養がたっぷりと詰まっていますが、冷凍し熟成されたことでさらにうま味がアップします。
時短で栄養たっぷりで美味しく食べられる冷凍シジミを、ぜひ味わってみてください。
「1度冷凍したしじみをもう一度解凍してうまみ成分を増やせるのでは…?」と考えついてしまった方もいらっしゃるとは思いますが、残念なことにしじみの再冷凍はできません。
食材内の雑菌などが繁殖する可能性や単純に味が悪くなってしまうため、美味しくなくなってしまいます。
冷凍しじみの解凍方法
冷凍のしじみは、殻付きでもむき身でも、凍ったまま調理します。
殻付き冷凍しじみの場合 | しじみの殻が開くまで、沸騰したお湯で茹でる。 強火で茹で続けるのも良いでしょう。 |
---|---|
むき身冷凍しじみの場合 | 料理にそのまま使っても、茹でても大丈夫です。 |
注意点としては、殻付きのまま冷凍したしじみは湯の温度が低かったり、自然解凍をしてしまったりすると、殻が開かなくなるため気を付けてください。
まとめ
しじみを美味しく食べるためのコツ・砂抜きの方法・レシピ・保存方法・解凍方法をご紹介しました。
しじみの美味しい食べ方をまるごとご紹介させていただいたため、ぜひ毎日のお料理にお役立てください!
嶋田漁業部では、実はinstagramでも網走湖のしじみの魅力、商品開発情報など配信しています。
僕と一緒に「しじみバカ」になりましょう。
ぜひ、遊びに来てください!!
しじみバカ日誌