「しじみの日」とは、4月23日の記念日のこと。4(し)4(じ)3(み)と読んで、しじみの日です。2006年(平成18年)、日本記念日協会によって記念日に登録されました。
記念日制定を申請したのは「日本しじみ研究所」。日本有数のしじみ漁獲量を誇る島根県の民間研究所です。
今回は、しじみの日が制定された理由と背景について、日本におけるしじみ資源の現状をふまえながら解説していきます。
しじみの日が制定された理由
島根県の宍道湖(しんじこ)は、日本でも指折りの漁獲量を記録するしじみの名産地。そんな島根県にある「しじみ研究所」は、北海道大学で博士号を取得した中村 幹雄氏が解説した民間の研究所です。数少ないしじみ研究者の一人で、『しじみ学入門』といった貴重な研究著作を世に送り出しています。
しじみを後世に守り伝えていくーーという使命感のもと、全国にしじみを発信するべく、しじみ研究所が日本記念日協会に申請。それが、しじみの日が誕生したきっかけでした。
国産しじみの水揚げ量は年々減少
一般的にスーパーで手に入るしじみの産地を、意識したことはありますか?もしかしたら「国産」と答える方もいるかもしれません。たしかに、1980年代以前の食卓では、多くのしじみが国産でした。なにしろ、1980年代初頭は全国で約5万トンの水揚げ量を記録していたからです。
ところが、1985年には約3万トンに減少。以降、徐々に減少が続き、なんと2008年には約1万トンにまで国産しじみの水揚げ量が減ってしまいました。
しじみは水質変化に非常に敏感で、環境が変わると生殖率や生存率に大きな影響があるといわれています。もちろんそれだけでなく、乱獲も減少要因の一つであることは否めません。
どちらにせよ、僕たち日本人にとって、当たり前だった国産しじみは、2000年代以降、もはや当たり前ではなくなったということです。
さいごに:
日本人にとって、しじみとは何なのか? 網走湖で五代目のしじみ漁師である僕は、年々減少するしじみという資源を前に、自問自答することがあります。
しじみは、縄文時代から日本人とともにある食材です。しじみの美味さは、DNAレベルで僕たちの身体に刻まれているのでしょう。海外の人よりも、日本人のほうがしじみのコクや旨味を感じる感覚が鋭いというわけです。
僕はこれからも、「しじみバカ」として、一人でも多くの方に、しじみという日本の食文化を継承し、守っていくために活動していきます。
4月23日は、しじみの日。ぜひみなさんも、しじみの日のことをまわりの人に広めてくださいね。
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